年に一度のバレンタイン
好きな人に好きだと言うことを伝えられる
貴重な日。
「チョコレートなど食わん。
おまえが自分で勝手に食っておけ」
伝えようと思った言葉をすべて詰め込んだ、
甘い香りのする丁寧にラッピングされた小包が藤崎真子の手からこぼれ落ちる。
「せめて、一粒でもいいから・・・ね?」
「いらんと言っている。
勝手に食っておけ」
千怜は言うことを言ってこの場から立ち去ってしまった。
千怜の部屋のドアが閉まる音が聞こえ、完全に一人になった瞬間に涙が溢れてきた。
とても、とても泣いた。
一週間前から必死になって練習した料理。
小鳥にも手伝ってもらい、必死に勉強した。
今回のチョコは真子一人で作り、最高の出来だと自負していた。
千怜なら、無表情でも何も言わなくても口にはしてくれると思っていた。
だが、
現実はそう甘くはなかった。
口にする以前に受け取ってすらもらえなかったのだ。
目の前に形の崩れた小包がある。
捨てようかと思ったが、もったいないから拾おうと手を伸ばした。
「待ってください、いいんですか?それで」
「え?」
小包を拾い上げ、しゃがみ真子と目線をあわせる小鳥。
「え?じゃないです。
受け取ってもらえなかったから、すぐに自分が食べようだなんて・・・
まだ、押しが足りてないです。そんなんじゃお兄さまに一生ついていくなんて不可能ですよ?」
確かに、まだ一回しか渡しに行ってない。
何度も行けば、いつかは受け取るだけでもしてくれるかもしれない。
でも、
「また、断られるのが・・・拒まれるのがこわい」
パシンッ
平手の音が響きわたる。
もちろん、殴ったのは小鳥だ。
「ヴァルキュリアなのに、なんでお兄さまにはそんなにも弱腰なんですか!!いつもの偉そうな態度はどこにいったんですか?!あの元気いっぱいのウザイくらいのハツラツはどこにいっちゃったんですか?!!」
いつもの真子とは違い、今は好きな相手に告白をしてフラれたあとだ。
メンタルが弱っているのも頷ける。
だが、そのような感覚ではあの九千怜についていこうなど到底不可能だ。
いつもの自分はどんなだった?
千怜にどんなに蔑まれようとそれを受け入れていた。
千怜に冷たい言葉を言われても平気だった。
それと今では何が違う?
ただ、今回はチョコレートを渡すというだけ。
想いを込めたチョコレートを渡すだけ。
断られて死ぬワケじゃない、イジェクトされたわけでもない。
「チョコ、返しなさいよ」
小鳥の手から小包を奪い返し、立ち上がり片腕で涙を拭き取る。
「私ほど千怜にふさわしいお嫁さんなんて、いないんだから。
千怜と私の甘々を見せつけてやるわ!!」
「そうです、これがいつもの真子さんです!!
では、今度は思い切って突撃LOVEアタックです!!
できますか?」
「言われなくても、千怜にコレを渡して受け取らせるわ」
真子は髪を手櫛でサラっとほどき、
千怜の部屋のドアを開けた。
「千怜、受け取って、絶対に」
ズンと突きつけられた小包。
形が崩れようが気にしない。
中身が多少溶けていようと関係ない。
これをとにかく受け取らせて、自分の想いを相手にわからせる。
長く時間が経った気がした。
先に手をあげたのは千怜の方だった。
「負けだ、コレを受け取ろう」
真子の手から小包を取り、ラッピングを解く。
ずっと手に持っていたこともあって少し溶けてしまっている。だが、食べられないこともない。
一粒摘み、口に入れる。
「・・・・・・悪くは、ない」
「ほ、ほんと!!?」
「一つ食べた、もう良いだろう。あとはおまえが食え」
「いやだ!!私が千怜にアーンってするの!!ね?だから、もう一粒だけでいいから食べて!!」
「いらんと言っている」
「やだ!!アーンさせてくれるまで部屋の扉、絶対に閉めないから!!」
両者再び粘った。が、
今回も千怜が先にてをあげた。
「わかった、もう一粒だけだ」
「うん!!じゃあ、アーン」
一粒、形のなるべく崩れてないものを選び千怜の口に持っていく。
口に含み、飲み込むまで真子は千怜と視線を外さない。
「食べたぞ。満足か?」
「うん、ありがとう、千怜」
「はわわわわわ!!アーーーーー!!!」
ドアの扉の段差に躓いた小鳥が真子の背中に激突。
小鳥が手に持っていた紅茶とコーヒー、そして、菓子は様々な方角に飛び、
千怜と顔を近づけていたためそのまま真子と千怜は・・・
はじめてのキスは チョコと血の味でした。
好きな人に好きだと言うことを伝えられる
貴重な日。
「チョコレートなど食わん。
おまえが自分で勝手に食っておけ」
伝えようと思った言葉をすべて詰め込んだ、
甘い香りのする丁寧にラッピングされた小包が藤崎真子の手からこぼれ落ちる。
「せめて、一粒でもいいから・・・ね?」
「いらんと言っている。
勝手に食っておけ」
千怜は言うことを言ってこの場から立ち去ってしまった。
千怜の部屋のドアが閉まる音が聞こえ、完全に一人になった瞬間に涙が溢れてきた。
とても、とても泣いた。
一週間前から必死になって練習した料理。
小鳥にも手伝ってもらい、必死に勉強した。
今回のチョコは真子一人で作り、最高の出来だと自負していた。
千怜なら、無表情でも何も言わなくても口にはしてくれると思っていた。
だが、
現実はそう甘くはなかった。
口にする以前に受け取ってすらもらえなかったのだ。
目の前に形の崩れた小包がある。
捨てようかと思ったが、もったいないから拾おうと手を伸ばした。
「待ってください、いいんですか?それで」
「え?」
小包を拾い上げ、しゃがみ真子と目線をあわせる小鳥。
「え?じゃないです。
受け取ってもらえなかったから、すぐに自分が食べようだなんて・・・
まだ、押しが足りてないです。そんなんじゃお兄さまに一生ついていくなんて不可能ですよ?」
確かに、まだ一回しか渡しに行ってない。
何度も行けば、いつかは受け取るだけでもしてくれるかもしれない。
でも、
「また、断られるのが・・・拒まれるのがこわい」
パシンッ
平手の音が響きわたる。
もちろん、殴ったのは小鳥だ。
「ヴァルキュリアなのに、なんでお兄さまにはそんなにも弱腰なんですか!!いつもの偉そうな態度はどこにいったんですか?!あの元気いっぱいのウザイくらいのハツラツはどこにいっちゃったんですか?!!」
いつもの真子とは違い、今は好きな相手に告白をしてフラれたあとだ。
メンタルが弱っているのも頷ける。
だが、そのような感覚ではあの九千怜についていこうなど到底不可能だ。
いつもの自分はどんなだった?
千怜にどんなに蔑まれようとそれを受け入れていた。
千怜に冷たい言葉を言われても平気だった。
それと今では何が違う?
ただ、今回はチョコレートを渡すというだけ。
想いを込めたチョコレートを渡すだけ。
断られて死ぬワケじゃない、イジェクトされたわけでもない。
「チョコ、返しなさいよ」
小鳥の手から小包を奪い返し、立ち上がり片腕で涙を拭き取る。
「私ほど千怜にふさわしいお嫁さんなんて、いないんだから。
千怜と私の甘々を見せつけてやるわ!!」
「そうです、これがいつもの真子さんです!!
では、今度は思い切って突撃LOVEアタックです!!
できますか?」
「言われなくても、千怜にコレを渡して受け取らせるわ」
真子は髪を手櫛でサラっとほどき、
千怜の部屋のドアを開けた。
「千怜、受け取って、絶対に」
ズンと突きつけられた小包。
形が崩れようが気にしない。
中身が多少溶けていようと関係ない。
これをとにかく受け取らせて、自分の想いを相手にわからせる。
長く時間が経った気がした。
先に手をあげたのは千怜の方だった。
「負けだ、コレを受け取ろう」
真子の手から小包を取り、ラッピングを解く。
ずっと手に持っていたこともあって少し溶けてしまっている。だが、食べられないこともない。
一粒摘み、口に入れる。
「・・・・・・悪くは、ない」
「ほ、ほんと!!?」
「一つ食べた、もう良いだろう。あとはおまえが食え」
「いやだ!!私が千怜にアーンってするの!!ね?だから、もう一粒だけでいいから食べて!!」
「いらんと言っている」
「やだ!!アーンさせてくれるまで部屋の扉、絶対に閉めないから!!」
両者再び粘った。が、
今回も千怜が先にてをあげた。
「わかった、もう一粒だけだ」
「うん!!じゃあ、アーン」
一粒、形のなるべく崩れてないものを選び千怜の口に持っていく。
口に含み、飲み込むまで真子は千怜と視線を外さない。
「食べたぞ。満足か?」
「うん、ありがとう、千怜」
「はわわわわわ!!アーーーーー!!!」
ドアの扉の段差に躓いた小鳥が真子の背中に激突。
小鳥が手に持っていた紅茶とコーヒー、そして、菓子は様々な方角に飛び、
千怜と顔を近づけていたためそのまま真子と千怜は・・・
はじめてのキスは チョコと血の味でした。